(腎細胞癌に対する承認内容)
バベンチオ®、インライタ®共通効能⼜は効果:根治切除不能⼜は転移性の腎細胞癌
インライタ® 電子添文 7. 用法及び用量に関連する注意 7.1:
抗悪性腫瘍剤(サイトカイン製剤を含む)による治療歴のない患者に対しては、PD-1/PD-L1阻害剤と併用すること。
メルクバイオファーマ株式会社はインライタ®単剤に関する情報提供は行っておりません。
インライタ®単剤に関する情報はファイザー株式会社にお問い合わせください。
バベンチオ®+インライタ®併用療法について
バベンチオ®+インライタ®併用療法の特性
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1
腎細胞癌に対して、本邦で最初に承認された抗PD-L1抗体のバベンチオ®と
抗VEGF薬のインライタ®を併用する治療法です。
●バベンチオ®は、PD-L1とその受容体であるPD-1との結合を阻害し、腫瘍抗原特異的なT細胞の細胞傷害活性を増強することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられます1)。
●インライタ®は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-1、-2及び-3)に対して選択的に阻害活性を示すことにより、血管及びリンパ管の新生を阻害して、腫瘍の増殖及び転移を抑制し、抗腫瘍活性を示すと考えられています2-8)。
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2
PD-L1陽性患者集団におけるPFSについて、バベンチオ®+インライタ®群のスニチニブ群に対する優越性が検証されました9)10)11)。
国際共同第Ⅲ相試験において、PFS最終解析の結果、主要評価項目であるPD-L1陽性患者集団(PD-L1発現率1%以上)における無増悪生存期間(PFS)について、優越性が検証されました〔層別ハザード比(95%信頼区間):0.61(0.475-0.790)、p <0.0001[層別log-rank検定(片側有意水準:<0.001)]〕。PFS中央値は、バベンチオ ®+インライタ®群が13.8ヵ月(95%信頼区間:11.1ヵ月,推定不能)、スニチニブ群が7.2ヵ月(95%信頼区間:5.7ヵ月,9.7ヵ月)でした。もう一つの主要評価項目であるPD-L1陽性患者集団におけるOSは、OS中間解析1回目の時点では、有意な延長は認められませんでした。
さらに、PFS追加解析の結果、層別ハザード比(95%信頼区間)は0.62(0.490-0.777)でした。PFS中央値は、バベンチオ®+インライタ®群が13.8ヵ月(95%信頼区間:10.1ヵ月,20.7ヵ月)、スニチニブ群が7.0ヵ月(95%信頼区間:5.7ヵ月,9.6ヵ月)でした。もう一つの主要評価項目であるPD-L1陽性患者集団におけるOSは、OS中間解析2回目の時点では、有意な延長は認められませんでした。 -
3
全患者集団におけるPFSについて、バベンチオ®+インライタ®群のスニチニブ群に対する優越性が検証されました9)10)11)。
国際共同第Ⅲ相試験において、PFS最終解析の結果、PD-L1発現を問わない全患者集団におけるPFS※について、優越性が検証されました〔層別ハザード比(95%信頼区間):0.69(0.563-0.840)、p=0.0001[層別log-rank検定(片側有意水準:<0.001)]〕。PFS中央値は、バベンチオ®+インライタ®群が13.8ヵ月(95%信頼区間:11.1ヵ月,推定不能)、スニチニブ群が8.4ヵ月(95%信頼区間:6.9ヵ月,11.1ヵ月)でした。以上より、本剤は「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」の効能又は効果を取得しました。全患者集団におけるOSは、OS中間解析1回目の時点では、有意な延長は認められませんでした。
※試験計画をPFS最終解析の前に改訂し、優越性の検証が可能になるようにした。
さらに、PFS追加解析の結果、層別ハザード比(95%信頼区間)は0.69(0.574-0.825)でした。PFS中央値は、バベンチオ®+インライタ®群が13.3ヵ月(95%信頼区間:11.1ヵ月,15.3ヵ月)、スニチニブ群が8.0ヵ月(95%信頼区間:6.7ヵ月,9.8ヵ月)でした。全患者集団におけるOSは、OS中間解析2回目の時点では、有意な延長は認められませんでした。 -
4
安全性では、国際共同第Ⅲ相試験について、バベンチオ®+インライタ®群の434例中414例(95.4%)に副作用が認められました。 (
PFS最終解析時点)9)10)
国際共同第Ⅲ相試験において、バベンチオ®とインライタ®の併用投与を受けた434例中414例(95.4%)に副作用が認められました。主な副作用は、下痢235例(54.1%)、高血圧208例(47.9%)、疲労156例(35.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群144例(33.2%)、発声障害116例(26.7%)、悪心107例(24.7%)、甲状腺機能低下症105例(24.2%)、口内炎96例(22.1%)、食欲減退86例(19.8%)でした。(効能又は効果追加承認時)
- <バベンチオ®>
重大な副作用として間質性肺疾患、膵炎、肝不全、肝機能障害、肝炎、大腸炎、重度の下痢、内分泌障害(甲状腺機能障害、副腎機能障害、下垂体機能障害)、1型糖尿病、心筋炎、神経障害、腎障害、筋炎、横紋筋融解症、infusion reaction、重症筋無力症、脳炎が報告されています。また、主な副作用は下痢(31.4%)、高血圧(24.7%)、疲労(24.4%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(16.2%)、悪心(15.8%)等でした。なお、電子添文の副作用の項及び臨床成績の項の安全性の結果をご参照ください。
1)社内資料:薬効薬理 作用機序[L20170920202]
2)Hu-Lowe DD. et al.: Clin Cancer Res. 14(22) : 7272, 2008
3)社内資料:薬効薬理試験[L20120329016]
4)社内資料:種々の細胞におけるRTK リン酸化阻害(in vitro)[L20120402011]
5)社内資料:VEGFR シグナル伝達の阻害(in vitro[)L20120409015]
6)社内資料:代謝物の薬理作用[L20120329010]
7)社内資料:ラット発生モデルにおけるVEGFR-2 のリン酸化(ラット)[L20120402012]
8)社内資料:M24met ヒト異種移植腫瘍におけるVEGFR-2 リン酸化(マウス)[L20120402013]
9)社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(B9991003試験)承認時評価資料
10)Motzer, R.J. et al.:N Engl J Med 380(12):1103, 2019 本試験は、Merck KGaA及びPfizer
Inc.のスポンサーシップのもと、実施されました。
11)Choueiri, T.K. et al.:Ann Oncol 31(8):1030, 2020 本試験は、Merck KGaA及びPfizer Inc.のスポンサーシップのもと、実施されました。
著者のなかにPfizer Inc.から謝礼などを受領している者が含まれます。
2023年2月作成 JP-AVE-00083 BVC37M001A