製品基本情報
8.重要な基本的注意
- 8.1本剤のT細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し、適切な鑑別診断を行うこと。過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること。また、本剤投与終了後に重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤投与終了後も観察を十分に行うこと。
- 8.2間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。[1.2、9.1.2、11.1.1参照]
- 8.3肝不全、肝機能障害、肝炎があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.3参照]
- 8.4甲状腺機能障害、副腎機能障害及び下垂体機能障害があらわれることがあるので、定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を行うこと。また、必要に応じて画像検査等の実施も考慮すること。[11.1.5、11.1.6、11.1.7参照]
- 8.51型糖尿病があらわれることがあるので、口渇、悪心、嘔吐等の症状の発現や血糖値の上昇に十分注意すること。[11.1.8参照]
- 8.6心筋炎があらわれることがあるので、胸痛、CK上昇、心電図異常等の観察を十分に行うこと。[11.1.9参照]
- 8.7筋炎、横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋力低下、筋肉痛、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等の観察を十分に行うこと。[11.1.12参照]
- 8.8腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.11参照]
- 8.9infusion reactionがあらわれることがあるので、本剤の投与は重度のinfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。また、2回目以降の本剤投与時にinfusion reactionがあらわれることもあるので、患者の状態を十分に観察すること。 [7.2、11.1.13参照]
- 8.10重症筋無力症があらわれることがあるので、筋力低下、眼瞼下垂、呼吸困難、嚥下障害等の観察を十分に行うこと。 [11.1.14 参照]
9.特定の背景を有する患者に関する注意
- 9.1合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1自己免疫疾患の合併又は慢性的若しくは再発性の自己免疫疾患の既往歴のある患者
免疫関連の副作用が発現又は増悪するおそれがある。 - 9.1.2間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。[1.2、8.2、11.1.1参照] - 9.4生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊法を用いるように指導すること。[9.5参照] - 9.5妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。ヒトIgG1は胎盤を通過することが知られており、本剤は母体から胎児へ移行する可能性がある。本剤を投与すると、胎児に対する免疫寛容が妨害され、流産率又は死産率が増加するおそれがある。[9.4参照] - 9.6授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgG1はヒト乳汁中に排出されることが知られている。 - 9.7小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。 - 9.8高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
11.副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1重大な副作用
- 11.1.1間質性肺疾患(2.1%)
[1.2、8.2、9.1.2参照] - 11.1.2膵炎(0.6%)
- 11.1.3肝不全(頻度不明)、肝機能障害(12.7%)、肝炎(0.4%)
肝不全、AST、ALT、γ-GTP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、肝炎があらわれることがある。[8.3参照] - 11.1.4大腸炎(1.7%)、重度の下痢(2.5%)
持続する下痢、腹痛、血便等の症状が認められた場合には投与を休薬又は中止すること。 - 11.1.5甲状腺機能障害(19.6%)
甲状腺機能低下症(16.3%)、甲状腺機能亢進症(5.1%)、甲状腺炎(1.6%)等の甲状腺機能障害があらわれることがある。[8.4参照] - 11.1.6副腎機能障害
副腎機能不全(1.5%)等の副腎機能障害があらわれることがある。[8.4参照] - 11.1.7下垂体機能障害
下垂体炎(0.2%)、下垂体機能低下症(頻度不明)等の下垂体機能障害があらわれることがある。[8.4 参照] - 11.1.81型糖尿病(0.3%)
糖尿病性ケトアシドーシスに至るおそれがある。1型糖尿病が疑われた場合には、本剤の投与を中止してインスリン製剤を投与する等の適切な処置を行うこと。[8.5参照] - 11.1.9心筋炎(0.2%)
[8.6参照] - 11.1.10神経障害
末梢性ニューロパチー(2.8%)、ギラン・バレー症候群(頻度不明)等の神経障害があらわれることがある。 - 11.1.11腎障害(1.7%)
急性腎障害(0.8%)、尿細管間質性腎炎(0.2%)等の腎障害があらわれることがある。[8.8参照] - 11.1.12筋炎(0.2%)、横紋筋融解症(頻度不明)
[8.7参照] - 11.1.13infusion
reaction(22.9%)
アナフィラキシー、発熱、悪寒、呼吸困難等があらわれることがある。infusion reactionが認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[7.2、8.9参照] - 11.1.14重症筋無力症(0.1%)
重症筋無力症によるクリーゼのため急速に呼吸不全が進行することがあるので、呼吸状態の悪化に十分注意すること。[8.10 参照] - 11.1.15脳炎(頻度不明)
2023年2月作成 JP-AVE-00083 BVC37M001A