メルケル細胞癌 メルケル細胞癌

(メルケル細胞癌に対する承認内容)
バベンチオ®の効能又は効果:根治切除不能なメルケル細胞癌

Case Report

紹介した症例は臨床症例の一部を紹介したもので、全ての症例が同様な結果を示すわけではありません。
効能又は効果、用法及び用量、警告・禁忌、効能又は効果に関連する注意、用法及び用量に関連する注意については、 製品基本情報ページをご参照ください。

転移性メルケル細胞癌症例における
バベンチオ®治療

副作用マネジメント
監修国立がん研究センター中央病院 
皮膚腫瘍科 科長 
山﨑 直也 先生
転移性メルケル細胞癌症例におけるバベンチオ®治療と副作用マネジメント 監修 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 科長 山﨑 直也 先生<

70歳代 
男性 日本人

診断名
メルケル細胞癌
用 量
バベンチオ®10mg/kg
既往歴/合併症
2型糖尿病、癌疼痛、便秘、不眠症、貧血
前治療歴
外科療法あり、化学療法あり、放射線療法あり
その他の治療歴
四肢の悪性軟部組織腫瘍手術、胃切除

患者背景と治療経過

症例は2013年10月に転移性メルケル細胞癌と診断され、その後外科治療、放射線療法、1Lの全身療法を行った後、2015年2月より、バベンチオ®による治療を開始した。RECIST判定による腫瘍評価*では、初回腫瘍評価日である投与開始7週目(D42)にはPRに到達し、つづいて13週目(D86)にはCRに到達した(図1参照)。奏効は6ヵ月以上維持され、奏効期間(DOR)は8.3ヵ月であった。

*:RECISTガイドライン1.1に基づき、独立評価項目レビュー委員会が判定した。

副作用発現状況

バベンチオ®初回投与時に悪寒(Grade 1)が発現したが、2回目投与時にはみられなかった。治療はその後も継続されたが、本症例は基礎疾患に2型糖尿病があり、7回目(D98)の投与中に口渇及び倦怠感を認めた。血液検査の結果、高血糖(血糖値:412mg/dL)を認めたことから即日に入院し、インスリンによる治療を行った。血糖値は翌日には正常値までの回復(翌朝空腹時血糖値:101mg/dL)を認めたが、その後も血糖値に変動がみられたため、インスリンによる治療を継続の上、その後2回の治療は入院管理下で実施した。以後の治療は通院にて行った。
17回目の投与から6日後(D258)、嘔吐及び腹痛を発現し、腸炎(Grade 2)及び1型糖尿病(Grade 1)と診断され、翌日再入院した。腸炎に対しては糖/アミノ酸/電解質投与等の治療を実施した(表1参照)。診断から14日後(D273)に腸炎の回復を認めた。1型糖尿病は回復を認めなかったが、インスリンによるコントロールが可能であると判断し、 バベンチオ®による治療を再開した。バベンチオ®の治療は全体で約15ヵ月間継続した。

治療のポイント

本症例はバベンチオ®による治療が奏効し、治療開始86⽇後にCRを達成することができた。一方で、投与開始から約9ヵ月後においても副作用が発現していることから、治療初期のみならず、治療期間を通じた副作用モニタリングを実施することが重要である。
また、本症例は基礎疾患に2型糖尿病を有しており、バベンチオ ®投与中に新たに1型糖尿病と診断された。これらに対してインスリン治療による血糖値コントロールを行い、休薬後も治療を再開・継続することができた。有害事象に対しても適切なマネジメントを行い、有効性と安全性のバランスを考慮して治療を継続していくことが重要である。

図1 症例経過
バベンチオ®10mg/kg 2週間に1回投与 初回投与日 PR到達日 CR到達日
表1 経過詳細
Day 経 過
1 バベンチオ®10mg/kg投与開始。
悪寒(Grade 1)が発現。
98 バベンチオ®10mg/kg投与。
投与中に口渇及び倦怠感が発現。
血液検査の結果、高血糖症状(血糖値:412mg/dL)により入院。
99 血糖値は正常値まで回復。
血糖値:101mg/dL(空腹時)
119 退院。
125 バベンチオ®投与のため再入院。
126 バベンチオ®10mg/kg投与。
128 退院。
139 バベンチオ®投与のため再入院。
140 バベンチオ®10mg/kg投与。その後退院。
252 バベンチオ®10mg/kg投与。
258 嘔吐及び腹痛が発現。
259 重篤な腸炎(Grade 2)及び非重篤な1型糖尿病(Grade 1)の発現により入院。
血糖値:418mg/dL(基準値:80~112mg/dL)
CRP:2.30mg/dL(基準値:0.14未満)
アミラーゼ:424U/L(基準値:44~132U/L)
白血球数:3.2×103/μL(基準値:3.3~8.6×103/μL)
CT検査の結果、腸炎(Grade 2)の可能性が示唆されたが、膵炎は検出されなかった。

腸炎に対する治療:
Day 259    オルニチン500mL 単回静脈内投与(1日間)
Day 259~263 アミノ酸/電解質/ブドウ糖 混合輸液500mL 1日3回(5日間)
Day 264~265 アミノ酸/電解質/ブドウ糖 混合輸液500mL 1日1回(2日間)
Day 259~271 乳酸リンゲル液500mL 1日2回(13日間)

1型糖尿病に対する治療:
Day 259~272 インスリンヒト 1日3回皮下投与(スライディングスケール)(14日間)
Day 260    ブドウ糖20mL 単回静脈内投与(1日間)
Day 272~   インスリンアスパルト40IU 1日1回皮下投与
268 バベンチオ®休薬。
271 血液検査を実施。 CRP:0.56mg/dL
白血球数:2.6×103/μL
273 腸炎は回復し退院。
1型糖尿病に対しては、インスリンによる治療下での血糖値コントロールを退院後も継続。
280 バベンチオ®10mg/kg投与再開。
464 バベンチオ®10mg/kg(最終投与日)。

2023年7月 JP-AVE-00411

PAGE TOP

PAGE TOP

本サイトに掲載された製品情報は日本の居住者のみを対象としており、国によって製品表示が異なる場合があります。

医療関係者の方へ
ご利用上の注意

このサイトは、医療用医薬品に関する情報を
医療関係者(医師・薬剤師・看護師等)の方を対象に
情報提供することを目的としています。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではありません。

あなたは医療関係者ですか?